タイトル:維持管理の考え方とガイドライン

ページ
34/158

このページは 維持管理の考え方とガイドライン の電子ブックに掲載されている34ページ目の概要です。

「このページを開く」か「最初のページを開く」で、ぞれぞれのページが開きます。

概要

全国住宅産業地域活性化協議会 維持管理の考え方とガイドライン

第3章リフォーム工事における考え方と注意点1)リフォーム工事、既存住宅における考え方リフォーム工事や既存住宅における維持管理の考え方は、新築住宅とは大きく異なる。これは、新築住宅とは違い維持管理を必要とする部位の状態が物件によって異なることに起因する。一つには、対象となる住宅の経過年数によって必要となるメンテナンス方法が違う事ともう一つは、住宅の内部仕様が築年度によって大きく異なることによるものである。特に既存住宅の場合、新築の状態のまま移行していれば部位の経年劣化は新築と同様に考えることが出来るが、部分的に補修やリフォームを行った場合、部位によって経年劣化の進行が異なってくる。また、日本の木造住宅の仕様は、建築基準法や省エネ法等の法規の改正、旧住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の恭順仕様書の改訂、更には住宅建材(アルミサッシ・ユニットバス等)の普及などにより築年度により異なる。大体、築年度によって1980年以前、1981年~89年、1990年~99年、2000年以降の4分類に大別することが出来る。この為、リフォーム工事を行う住宅や既存住宅の維持管理計画を策定するにあたっては、対象となる住宅の築年度による仕様を理解し、現状の状態(経年劣化の進行状況)を把握したうえで策定する必要がる。ここで、対象となる住宅が自社のOB物件か他社物件かによって対応に注意が必要となる。OB物件であれば、リフォーム工事に入る前の現状の確認として住宅全体を対象とした現状検査は可能であろう。しかし、他社物件となった場合、工事対象部位周辺以外となる建物全体を対象とした現状調査は中々住まい手の理解を得ることは難しい。この場合、リフォーム工事終了後に住まい手の現状把握として住宅全体の検査を申し出るのが手順としては、スムーズに移行できるのではないだろうか。ここで、忘れていけないのは住宅のリフォームを新築した事業者ではなく他の事業者に依頼する時点で、「対象となる住宅の維持管理を行っている事業者はいない可能性が高い」と考えられる点となる。また、リフォーム工事を行う住宅の大半が築後10年を越えていると考えると10年目以降の補修を検討する必要が有る事を伝える必要が有る。これは、工事価格を高騰させるものではなく、住宅を良好な状態で長持ちさせるために必要な措置であり、最終的にはコストの低減につながる事の理解を得ることが必須となる。検査を行い、状態を把握することが目的であり、最終的な補修を行うかどうかの判断は住まい手が行う事も伝える事が必要であろう。32