タイトル:維持管理の考え方とガイドライン

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概要

全国住宅産業地域活性化協議会 維持管理の考え方とガイドライン

3)住宅の築年度別による仕様の違い第3章日本の木造住宅は、その築年度によって、耐震性能、温熱性能、耐久性の仕様に大きな開きがある。これは、先にも述べたが、建築基準法や省エネ法等の法規の改正、旧住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の恭順仕様書の改訂、更には住宅建材(アルミサッシ・ユニットバス等)の普及などにより築年度により異なるものである。しかし、この違いは、あくまで建築年代による一般的な仕様であることから、推測できる状況であり、実際の検査では建築年代だけからの判断は出来ない。?耐震性能既存住宅の耐震性能は、甚大な被害をもたらした大地震の調査結果を反映して、建築基準法は昭和34年と昭和56年の2度にわたり改正され、必要な耐力壁量が変わっている。2006年の調査では、戸建て木造住宅は約2,550万戸の約35%にあたる約850万戸が昭和56年の新耐震基準以前の住宅で、1982年以降に建てられた住宅のうち約250万戸について耐震性能が不足すると推計されている。?耐力壁と接合部の変遷1981年5月以前に着工した住宅は、必要な耐力壁量、耐震壁のバランス、適切な接合部金物等の採用などにおいて耐震性が低い可能性が高く、耐震診断を行った上で、根本的な耐震改修を行う必要がある。1981年6月~2000年5月に着工した住宅は、耐力壁のバランスや、接合部金物の不備など、耐震性が十分であるとは言い難い住宅が含まれている可能性が高いため、耐震診断を行い、耐震改修の必要性を判断したい。?温熱性能日本で最初の住宅の省エネ基準は1980年に示めされ、「旧省エネ基準」(住宅性能表示制度温熱等級2相当)と呼ばれる。その後、温暖化防止に向けて、基準の改正が1991年に行われ「新省エネ基準」(等級3)へ変わった。さらに1999年に「次世代省エネ基準」(等級4)へと改正された。省エネ基準は努力目標であるため、次世代省エネ基準の適合率は、2010年の住宅エコポイント効果により5割超となったが、2008年まで新築のおよそ1~2割程度、住宅性能評価を受けた住宅においても、2007年で36%であり、住宅ストックの大半が等級4を満たしていないと言える。開口部の断熱性能については、ハウスメーカーや大手ビルダーがペアガラスの断熱サッシを標準とする2000年を過ぎるまで、大きく普及していない。・努力基準である省エネ基準に基づく断熱措置を行っているかどうかは、1989年以降の公庫融資や公庫割増融資基準の利用が判断の目安となる。・2007年にフラット35Sの融資制度、2008年に長期優良住宅制度が開始された。38